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信仰、神

hokora
男は己の存在をこの世に残したかった。
伝記、伝承。存在への渇望から男は村で活躍し、語り伝えられうる存在にまでなった。しかし、まだ満ち足りない。己の魂までこの世に残したい。貪欲な男は考えた。
そうだ、神になろう。
男は祠を建て、自身を祀らせた。 やがて男の肉体は寿命を迎えたが、生前の活躍により村中に信仰される神となった。
しかし傲慢な男の祟りであろうか、村人がこの祠への捧げ物を忘れた年に疫病が流行り、村は壊滅してしまった。

今でもその祠は残っているが、近づかないほうがいい。神はその存在を知ることによって、信仰する者がいることによって力を持つ。
触らぬ神に祟りなし、である。


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by karlmohya